当番世話人挨拶

第49回関東腹腔鏡下胃切除研究会にあたって

当番世話人 帝京大学 三ツ井 崇司image

 このたびは第49回関東腹腔鏡下胃切除研究会の特設サイトをご覧いただき、
誠にありがとうございます。

さて、本邦の胃癌治療ガイドラインは改訂のたびに進化し、術式の多様化が進んでいます。かつては早期癌に対する機能温存術式と考えられていた噴門側胃切除術にもD2領域が設定され、また上部領域の癌を想定した胃亜全摘術も新たに掲載されました。さらに、以前は明確な位置づけがなかった食道胃接合部癌についてもガイドラインに記載されるようになり、欧米とは異なる、本邦独自のきめ細かな治療体系が確立しつつあります。これらの変化は、胃癌をより細分化し、患者集団ごとに最も適した術式を選択するという、いわば「術式における個別化医療」の進展を象徴しているように思われます。

 一方で、全国的に胃癌手術の総数は減少傾向にあります。その中で、手術を担う施設はセンター化の流れにあり、個々の施設の症例数は、将来的にはむしろ増加に転じる可能性さえあります。では、胃癌を専門的に扱う施設としての使命とは何でしょうか。それは、均一な術式を効率的に多数行うことではなく、まとまった症例数を有するからこそ可能となる「患者ごとに最適化された個別化手術の提供」ではないでしょうか。

 具体的には、ガイドラインに示されている胃局所切除、胃分節切除、噴門側胃切除、幽門保存胃切除、胃亜全摘術などの多様な術式は、いずれも適切に細分化された患者群に対しては最適な術式となり得ます。そのような患者群を見出し、適切に適応を定め、個別化された術式として確立していくことこそ、胃外科専門施設に課された使命であると考えています。
 胃癌手術が減少する時代にあって、私たち胃外科医の専門性とは何か。その答えは、「胃癌の細分化」と「術式の個別化」にあると私は考えております。胃外科医としての専門性の確立は、同時に、胃外科という分野が今後も発展し続けるための生存戦略でもあります。

 今回の研究会では、各演者の先生方から、一見「尖っている」とも見える先進的な取り組みをご発表いただきます。その一つ一つが、将来の「個別化された胃癌手術」の方向性を示す貴重な一歩となることを期待しております。本研究会が、ご参加いただく皆さまにとって、未来の胃外科のあり方を共に考える有意義な一日となりますよう、心より願っております。

第 49 回関東腹腔鏡下胃切除研究会
当番世話人 三ツ井 崇司
帝京大学 上部消化管外科